眺望夢窓

『政治や統治』

政治や統治の根本原理を考えるのも時には面白いことです。以下の文章は、よくまとまっていると思いますので、抜粋してみました。皆様はいかがお考えになるのでしょうか。

一、われわれは、人間の本質を正しく生かす人間本然主義に立脚し、日本の伝統精神に根ざした日本独自の民主主義に基づいて活動する。

一、われわれは、素直な心で天地自然の理を仰ぎ、これに従って、自由と秩序と生成発展の真の文化国家建設をめざす。

一、われわれは、全国民の衆知と力を結集し、正しい国家経営の道を探求、実践して日本と世界の繁栄、発展に寄与貢献する。

これは、フォーサイト 12月号(2004年)の『松下幸之助「新党計画」二十年目に明かされる真実 より』に掲載されたものです。

日本独自の道を模索したり、歩み続けるのをのを世界が果たして許容してくれるのかどうなのか、はなはだ疑問であり心配なところですが。

参考として、明治政府が公にしている、『五箇条の御誓文』も書いておきますので、比べてみてください。明治政府が考え言葉を選んだ国家スローガンですね。

一、広く会議を興し、万機公論に決すべし。

 (政治のことは、会議を開き、多くの意見を聞いて決めよう。)

一、上下心を一にして、盛んに経綸を行うべし。

 (身分に関係なく、みんなが心を合わせて、国の政策を行おう。)

一、官武一途庶民に至るまで、おのおのその志を遂げ、人心をして倦まざらしめんことを要す。

 (公家や武士、庶民の区別なく、みんなの志がかなえられ、失望のない社会にしよう。

一、旧来の弊習を破り、天地の公道に基づくべし。

 (これまでの悪い習慣をやめ、天地の法則に基づいた行いをしよう。)

一、知識を世界に求め、おおいに皇基を振興すべし。

 (新しい知識を世界の各国に求め、国家の繁栄をはかろう。)

 

また、坂本竜馬が策案したとされる船中八策を書き出しました。個人名で流出した当時の問題点抽出です。考えてみると良く出来すぎていますので、暗殺されるのも無理は無いのかも知れません。

 

『船中八策』

 

一策 天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令宜しく朝廷より出づるべき事。

(幕府の朝廷への大政奉還)

二策 上下議政局を設け、議員を置きて万機を参賛せしめ、万機宜しく公議に決すき事。

(公議政体論のもと、上下両院の設置による議会政治)

三策 有材の公卿・諸侯及び天下の人材を顧問に備へ、官爵を賜ひ、宜しく従来有名無実の官を除くべき事。

(有為な人材の登用:官僚制度の再構成)

四策 外国の交際広く公議を採り、新たに至当の規約を立つべき事。

(外国との不平等条約の改定)

五策 古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を撰定すべき事。

(新らたな憲法を制定する事)

六策 海軍宜しく拡張すべき事。

(海軍力の増強)

七策 御親兵を置き、帝都を守衛せしむべき事。

(新政府常設軍の設置)

八策 金銀物貨宜しく外国と平均の法を設くべき事。

(金銀の交換レートや物の値段を外国と同等に変更すべき)

 

『五傍の掲示』というものも、1968年(慶応4年)にありました。明治政府は、民衆の統制目的で以下の様な掲示を行っています。全文は長く漢文なので、私にとってはとても読みにくいため、見出しと概略だけを書き出すことにします。

 

五傍の掲示は高札として民衆に周知をされたもので、最初の三枚は「定三札」といわれるもので、永年掲示であり、後ろの二札は「覚札」と呼ばれるもので、一時的掲示でありました。

 

第一札:五倫道徳遵守

(儒教の「五倫の道」や道徳の遵守、および犯罪行為の禁止)

第二札:徒党・強訴・逃散禁止

(徒党・強訴・逃散の禁止、主に集団の力を行使する事に対しての禁止)

第三札:邪宗門厳禁(1873年に諸外国から批判を受け廃止。

(キリスト教に対しての禁止)

第四札:万国公法履行

(外国人への加害する事の禁止)

第五札:郷村脱走禁止

(郷村脱走(浮浪)の禁止)

 

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